プロ、アマ

我々の仕事は、お客様が要求する物を作ると言うことです。
仕事が楽しい、楽しくないと言うのは別次元の話しで、ただひたすらお客様の要求されている物を作る事です。
楽しい楽しくないと言うのを大事にするのも間違って無いとは思いますが、それが大前提となるとそれは仕事では無く趣味ですよね。

そのお客様が要求してくる要求のレベルを測るのがお金な訳です。
例えば給料月30万円の人が加工費で1個5千円の物を1個作ったとします。引き目もとてもキレイでキッチリ寸法内に収まった品物だとしても丸一日かけて作っていたら、それでは30万貰う人の仕事ではありません。
ただ作るだけではお客様の要求を満たせません。そこにお金が発生している限り、そのお金の範囲内で作る必要がある。ここまで満たしてこそのプロなんです。お客様の要求以上の物を作る。確かにそれは付加価値となり次に繋がる重要な要素になりますが、予算度外視となるならそれは自己満足です。プロの仕事では無い。
1個5千円のベアリング受けを、見た目も寸法も必要以上に作ったので3万円下さい。と言ったらお客様は「は?そこまで必要ないから5千円以内で収めて」と言ってくるでしょう。こうなってはお客様の求めている物を作れてない=プロでは無いと言う事になります。

上司(社長)から「これを作って」と指示されて、それを作る。仕事の流れはこれ以外無いと思いますし、指示がなければ動けない半人前の段階ではそれ以外の事を考える事は難しいかもしれません。ですが、上司や社長の為に作るのでは無くお客様の要求している物を作ると言う意識を持つ事が次のステップに進む重要なポイントで、お客様が要求している事を満たすのがプロの仕事であるなら、その品物の価格(価値)を知る事はプロとして必要不可欠な要素だと思います。

中には「自分の時間をかければ良い」と言う考えの人がいます。
サービス残業でも何でもして兎に角間に合わせれば良いと言う考えは、仕事に対しての責任感は認めますが間違っています。従業員の立場であれば、かけた苦労の割に報われないと言う事になるし、経営者の立場であれば採算取れずにジリ貧になってしまう。

我々の見積もりは図面から価格を導き出すので一見言い値に見えますよね。
ですがよほど特殊な加工を除き、使用する機械(旋盤、マシニング、研削盤)はどこのメーカーも大体同じ、表面処理に使う機械、工程も大体同じとなれば出てくる見積もりは殆ど大差ない価格になります。(勿論社内治具等を駆使して安く加工出来る可能性もありますが一般的にはあまり変わりません)
これは相見積もりを取られる購買の方等であればご納得いただける事と思います。
要するに市場価格(適正価格)と言う物があるんです。(それなりに歴史の古い職種ですからね)
ですが、意外にお金の事まで考える人が少ないので驚きます。
物の価格(価値)も解らないのに仕事の良し悪しなんて判断出来ないですよね。それなのに作れる様になったから出来る様になったと思っても、それは自己満足に過ぎません。

お客様の求めに応じられないのであれば、それは実力不足の側面もありますよね。その場合は更なる研鑽が必要です。
ぶっちゃけお金をもらっていれば、それはプロという事になりますが、常にお客様が求める品物を製作出来る様に技術の維持、向上を心がける。見積もり通り以上の品物を心がける。私のプロって言うのはこういうイメージなんですが、如何でしょうか?


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