見積もりの方法(続き)

前回我々の業界、特に多品種小ロット、試作メインの会社の見積もり方法を簡単に説明してみました。
やっぱり一点物で更に良い品物が欲しいとなると、お金がかかります。
高い印象を受ける方が多いですが、前回の説明である程度解って頂けたと思います。

ですがやっぱり安く欲しいと思いますよね。
そこで今回は私が考える、出来る限り安くする方法を書いてみます。

まず大事なのは、「自分自身もある程度知識を持つ事」です。
相場も解らないのに「安くして欲しい」と言うのは本末転倒です。
加工の種類、例えば旋盤加工とかフライス加工、研磨等々。
最低でもこの程度は知っておきたいです。

それでは会社探しです。
今は大半の会社が普通にホームページを持っている時代になりました。
それは弊社の様な超零細の町工場も同様です。
敷居が高いですが超零細を狙いましょう。(社員数が10人以下。出来れば5~6人)
これは中間マージンカットの狙いがあります。
どこの会社も当然お客様が付いていて仕事があって忙しい場合が多いです。
量産品は社内で行い小ロットや試作品は外注を使うと言った会社や量産品は外注で一品物を社内でやっている会社もあります。
いずれにしても規模が大きい(10人以上)会社は専門職の営業が居る場合が多いです。
この場合は超零細とは言えません。
大抵は協力会社とのパイプが確立されていて外注される確率が高いです。要するに中間マージンが入ってしまう。
もちろん間に入ってもらう事のメリットも大きいのですが、コストダウンに絞って話しているので一先ず選択肢から外しましょう。

私的なイメージですが超零細で技術力がある会社のホームページは結構簡素な場合が多いです。
そこまで手が回らないんです。
簡素なホームページで少人数だから技術力があるとは限りませんが、指標にはなる気がします。

極端な例ですが、私が尊敬する仲間の会社の話しを書きますね。
雑誌にコラムをいくつも掲載している方からの依頼で仕事を行った際、「記事に書くから社名出していい?」と聞かれて断ったそうです。
余計な問い合わせが増えるを嫌っての事だそうです。(羨ましい…)
また他の仲間は「とりあえず会社案内として持っておくべきだと思ったから」と言ってました。
要するに集客目的じゃないんですよね。
この2社はちょっと特別かもしれませんが、昔から試作、多品種小ロットをメインにしてる超零細の会社は忙しい場合がほとんどです。
ですが小ロット故に仕事仕事の間隔は短い場合があって、ちょっとした仕事なら合間でやってもらえる可能性があります。
(物が大きくなったり製缶(溶接が絡む)品だったりすると足が長くなるので一概にそうとは言えませんが…)

次に設備です。
大抵の会社が製品情報として様々な写真を掲載していますが、大事なのはそこの会社で加工出来る品物か?
そこの会社が得意としている大きさか?と言う事です。ここは結構重要です。
設備情報として持っている設備が出ていれば、それをチェック。(設備の項目が無い会社は最初から外注の可能性が高いです)

依頼する製品が旋盤加工なら旋盤やNC旋盤を持っているか?
フライス加工ならフライスやマシニングを持っているか?
この辺を見ましょう。
NC機以外に汎用の旋盤、フライス、ボール盤やラジアル盤を持っている会社は一品物に強い傾向があります。
(1個の場合、汎用機の方が早い場合が多いです。)

そしてその設備が依頼品とマッチした大きさか?
これは中々難しい所ですが、親切な会社のページだと得意な加工範囲を謳っていたりしますので、そこを参考にして下さい。
例としては、8~10″チャックの旋盤でφ10以下の仕事を頼むのはナンセンスです。
(出来なくは無いですが、使う工具が違ってきたりする場合があるので逆に高くつく可能性もあります。)
外注になるか断られます。

それと出来れば近場。
品物が小さければ宅急便で良いと思いますが、単品だと送料がそのまま単価に乗っかります。
これ結構大きいです。
帰りがけや行く途中で取りに行ける会社を見つけるのがベストです。
取りに行く手間を考えると宅急便でも良いんですが、大きくなると宅急便では難しく依頼された側も面倒なので工場渡しの条件が付いたりします。
近いと何かと相談に乗ってくれる様になったりするので、近場にあるのが良いですね。

後は接触の仕方です。実はここが一番大きいと思います。
超零細の営業は基本的に社長が兼任しています。
自分の腕一本で切り盛りしているので職人気質の人が多く、取り扱いは注意です…
(え?私では無いですよ?私では( ^ω^ )
頭ごなしにいけば、まず100%門前払いです。

後は交渉次第ですが、やっぱり基本的にはコミュニケーションが大事です。
私より腕の良い人は数多居ますが、この人は凄いなって思える人の特徴は結構似てます。
まず間違いなく全員が自分の時間を削って研鑽を重ねてきていて、その長い研鑽の上に今が成り立っています。
一番大事にして欲しい所だし、私も一番気を付けています。

まぁあまり無礼なのは論外。
手がかかるのに短納期の仕事、要するに「無茶振り」なのに「コスト重視」とか言われると…
「この番号からの問い合わせは1分50円の料金がかかります」と肉声アナウンスしてやろうか?と思っちゃいます(^ω^;)
かと言って、受ける側の我々も偉そうな態度に出るのは違うって思う。
これはお互い様ですし、当然ですよね。

そして以前も書いたと思いますが、見積もり。
これがかなり重いです。
指値が入っていると非常に答えやすいです。

そして最後に大事な所なのでもう一回書きます。
「自分自身もある程度知識を持つ事」
安く上げたいのであれば、これは必須だとお考えください。

如何でしょうか?
前述した通り一定レベル以上の会社は忙しいので、ある程度の知識を持って問い合わせても一発でやってくれる会社は見つからないと思います。
何度も問い合わせる必要がありますし、結構手間がかかります。
上記が面倒と思われる場合は、それなりに大きい会社や一元管理出来る会社へご依頼するのが良いかと思います。
それなりの手数料が乗りますので、それを考慮に入れる必要がありますが自分で調べたりする時間を考えると、それもアリだと思います。
(結局そこの会社の営業が何社も協力会社に問い合わせる事になるのですが...)
あまり細かく書くと仲間に「余計な事書くな!」と怒られそうなのでこの辺にしときます。(;´∀`)

見積もりの話しは大体こんな所でしょうか?
つらつら書いてみましたが、やっぱり簡単に上手く行く方法なんて無いですね。
時間とコストを計りにかけてアウトソーシングする場合にしても「人を見る目」というスキルを要求されます。
それは簡単に身に付く物では無いですよね。
身も蓋も無いまとめになっちゃいましたが、参考になれば幸いです。


コメントを残す

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)