ワンランク上の旋盤加工

S45C 外径φ92 内径φ78H6 厚さ25
非常に単純な形状ですね。見た目も普通のリングで旋盤加工の経験があれば簡単に出来そうです。
ですが、内径の交差は0~+0.019。少しでも歪(いびつ)が出ると交差から外れてしまいます。
この歪をコントロールする事が初心者から脱却するのに必要な事だと思います。
4年目の社員の仕事。実力を把握するには丁度良さそうな仕事です。

普通に片側切削して切削面をチャッキングしてもう片側を削る。
これだとチャック圧をギリギリまで下げたとしても歪になってしまいそうです。
パワーチャックの力のかかり具合は結構ありますからね~。
これも仕上げ段階で0.4Mpaの把握力で仕上げた様ですが0.03程度の歪が発生していました。
かと言ってこれ以上圧を下げるのはチャックから外れる危険が出てきます。
中々悩ましいんです。

これを防ぐには?
・出来るだけ隙間の無い生爪を整形してワークにかかる把握力を均一にする。
・平面で抑える治具を作る
・スクロールチャックを使う
等が考えられますね。

余談
薄物を多く加工される方は解ってくれると思いますが、スクロールチャックは結構使えます。
使いこなすのに慣れが必要ですが、トルクレンチがあればある程度管理出来るしオススメです。
ですが「軽くっと締める」が感覚で身に付くとスピードも上がるし単品加工には結構役に立つと思います。
特に端面の精度を出すには良い方法だと思います。
NC旋盤に面板付けてスクロールチャック付けっ放しと言う方もいらっしゃるかと思います。

いずれにしても一手間加える必要がありますが、一手間加えると言う事は時間かかってコストが上がる(;´Д`)

時間をかければある程度納得できる物が出来る訳ですが、それじゃ能が無いですよね。
力のかかり具合を見極めつつ、相場の価格に落ち着く様な時間で加工する。
腕の見せ所であり、これが職人と呼ばれる者の仕事でしょう。

四年生の彼は今までの経験が役に立っている様で、まずまず道理は理解してきた様です。
もうちょいスピードが上がると良いんですが、今はまぁ良しとしましょう。
この歪の問題とは、ず~っと付き合う事になるしね。
とりあえず初心者のレベルからは脱却してきている様で何よりでした。


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