品質管理

付加価値。
必要とされる能力がレアならレアな程、価値は高まりますよね。
仕事で付加価値と言うと色々ありますが、品質管理も今や重要な付加価値の一つ。(測定については少し書きました

品質管理が付加価値に成り得る理由はいくつかありますが、その一つが即効性のある費用対効果が薄いので、皆あまりやりたがらないと言う点。
検査機器、ブロックゲージやネジゲージと言ったマスター、検査治具...これ等は良い値段なんですよね。
三次元測定機等は工作機械が買えちゃう位の価格。となれば、どこの会社でも持ってる測定工具とは違います。

そして上記とも連動してきますが「そこまで精度要らない」場合が多い為、適当な品質管理になってしまう会社が意外と多い点。
こっちの方を掘り下げてみます。

昔は、メーカーも作り手も品物、機械に対する考えが共通してました。何と言うか、図面以外にもう一つの基準があったとでも言えば解りやすいでしょうか。
私が子供の頃、日本の製造業は品質、価格で世界一でした。そして私が仕事を始めた頃もまだまだ日本の製造業の力は強かった。
ではその現場はどんな雰囲気だったでしょうか。
雄ネジ、雌ネジは当然ネジゲージ合わせ?いやいやボルト、ナット合わせの方が当たり前でした。テーパーネジにしても市販のプラグに切り込み入れて「ここから、ここまで」と言うような管理。
寸法管理は?メーカーの方で三次元測定機で管理してて0.005外れたらアウト。なんて事は無く、0.01(場合によってはもっと)外れても入ればok。
温度管理の面では?冬のSUS加工、太い奴は特に芯まで冷えると縮むからは気をつけろ! ストーブの近くにマイクロ置くな!等々、アバウトでしたねw
夏は?冷房入ってる工場なんてほとんど無かったんじゃ無いかなぁ。同じ雰囲気に製品も測定器もあるから大丈夫。(何が?って感じですがw)
「0.01の測定?1/100単位で表示されるデジタルノギスがあるよ!(`・∀・´)エッヘン!!」と言うような所も多々ありました。(;^ω^)。
(流石に親父の会社はマイクロは揃ってましたが、某掲示板等を見てると未だに百分代の測定はデジタルノギスの所があるみたいです。)
当然校正なんてした事ない...こんな状況でも日本が世界一だったんです。
勿論厳しいメーカーさんもありましたが、厳しいメーカーさんは加工界隈では有名で「〇〇(メーカー名)の仕事はやりたくないねぇ」なんて言われてましたね。
この状態、今も見られます。どちらかと言うと作り手側に昔の意識が根付いてる場合が多い。
まぁ、それ故にきちんと品質管理している会社はそれだけでも付加価値があるのでしょう。

お恥ずかしながら私も独立した当初は昔寄りの考え方でした。ですが、お付き合いしているお客様に付いて行くにはこれではマズイ!と思い立ち、測定工具もマスターとなるゲージも様々な形状に対応出来る様に多様な種類を揃え、校正も年に一度行い、工場で使う油等も全て品質管理データを揃えて今に至ります。必要とあればメッキで使う水の品質検査までする。10人弱の工場でこれは中々無いはずです。
(お客様に育てていただいたので、あまり偉そうに言える立場では無いですね^^;;)

現在、この厳しい品質管理の在り方が全てのメーカーに広がってきていますね。
ですが私自身は今の「何でもかんでもきっちり品質管理」の考え方には少々疑問を持っています。いや、勿論きちんと管理するのは当たり前なんです。ですが、いつ頃からでしょうか?これほど検査が厳しくなったのは。
ほんと、これいつ頃からでしょうね?大きなメーカーの不正が明らかになった等が大々的にニュースで報道される様になってからと言うのは解るんですが、こう言ったニュースっていつ頃から増えたんだろう?

前述した様に図面とは違うもう一つのスタンダードの様な考えが裏にある時期、この時期は作り手とメーカーの信頼関係がガッチリ出来ていました。
ですが我々作り手もメーカー側もそこに甘えちゃったんでしょうね。叩かれても仕方無い様なボロが、それこそボロボロと出てしまった。その結果今の状態になりつつある...とするなら、これは業界全体の責任になります。
まぁこの辺は前にも書きましたね。
今後我々の業界はこの品質管理の強化を怠るとマズい事になるだろうと思えますが、世界的な価格競争からは逃れられないとなれば、それこそ日本全体で問題を認識する必要があるんじゃないかなぁ。

このところ、品物を収めた後「流石の仕上がり具合」とお褒めの言葉を2社から立て続けにいただきました。
有り難いですし、手を加えた所を評価していただけるのは本当に嬉しい事です。ありがとうございます。ですが、やはり手を加えればどうしても時間がかかり、その分コストが上がってしまう。
現状では、「品質が基準(図面)に満たないから手直し(作り直し)」と言うリスクが「手間をかけて品質を満たす」コストより高いので価格的に多少高くても納得していただいてますが、それが当たり前になると価値が無くなりますよね。この品質とコストの関係は弊社の課題でもあります。
まだまだやる事は多いですね。


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