再スタート

1月末で独立してからちょうど丸10年経ち、2月から11年目に入りました。
正しく再スタートの気分です。

今までのうちの設備は8~10″の大きさ、マシニングは700×500テーブルの40番、所謂手頃な大きさでした。
機械の大きさが手頃と言う事は、狭い工場でも導入可能。そして品物の大きさも人力で持てる範囲。これらの意味する所は、同程度の機械を持っている会社が多い。則ち「競合が多い」と言う事です。
このサイズ帯で独自性を出すとなると、結局の所「より高精度で難しい」か「より安い」に振るか?ほぼこの二択になってしまいます。
うちはどちらかと言うと、「より高精度で難しい」方へ会社の能力値を振ってきました。

6~7年前、5人程度の零細では珍しい設備の三次元測定機を入れ、検査室を構えて高精度に対応可能にし、その裏付けとして測定工具、基準ゲージを毎年校正し校正証明書(トレサ三点)を揃える様にしました。このお陰で零細の町工場にも関わらず一流のメーカーにも認めて貰い、様々な仕事をこなす事で技術力を磨き、景気に左右されない力を得る事が出来ました。

この路線のまま進めてもそこそこの状態はキープできると思いますが、昨今は「難しい仕事しか無い」状況になってきています。
難しい仕事は当然技術力のある人間しか対応出来ない。
当社が戦っているフィールドはどんどんスピードが上がっていて、技術力強化の為の人材育成に時間が掛かってしまえば、「どんな人材も即戦力になる様な会社作り」が求められる現在のスピード感には合わなくなる。「ゆっくり時間をかけて人材育成」というやり方は、当社が戦っているフィールドではこの先厳しい事になりそう...
加えて、その難しい仕事も価格が落ちてきている。それに反して品質管理のレベルは上がる一方で原材料価格の上昇にも歯止めが掛かりません...これではジリ貧になるのは目に見えてます。

ではどうしたら良いか?
あまりギチギチな所じゃなくて、もう少し余裕のありそうな所へ手を伸ばして幅を持たすのも悪くないのでは?と考えました。

昨年、心間2,000と言う加工範囲を持つミーリング付きの旋盤を導入。これまでは心間1,000だったので倍の加工範囲になりました。

そして今までφ400程度までだったチャックワークの加工範囲を、これまた倍以上のφ900程度まで加工可能な立旋盤を2/5に導入。
それらの設備を活かすための各種測定機器の納入も完了しました。
新たな分野へ切り込んで行く為の最初の準備が出来ました。

これらを用いて先ず切り込んでいく業界は、今後の産業の大きな柱になるであろうEV業界と脱カーボンを旗印にする再生エネルギー業界。言葉で書くと、はっきりと分かれる両業界ですが密接に繋がってますよね。
EV関連の製品については昨年試作を終え、年明けから本格的な加工に入っています。
再生エネルギー関連は主に立旋盤での加工を考えていますが、違う業界からもお話しが来ていてこちらも楽しみです。

EV関連も再生エネルギー関連も今まで以上にフリクションロスの軽減が求められるとなると、高精度の同軸度や真円度を備えた製品はこの分野でも大きな価値がある思われ、今まで培ってきた技術と経験が生かせるのでは?と考えています。
また、eアクスル等はモーターに軟磁性材を使うだろうし、周辺機器にポンプが使用されるとなればシャフトスリーブも使う事になりますし、現在うちで取り扱っている仕事の知見も役に立ちそうです。
ポジティブに考えると、とてもワクワクしてきます!
大きな流れになるのは少し先の事かもしれませんが、高い確率で大きな流れになりそうですよね。このタイミングで存在感を出せれば、と考えています。

ここでも必要なのはやはり人材。出来れば「大型の機械を扱える人材」
転職市場には全く現れませんね。最早、天然記念物級の希少さ。企業もそれは理解しているので厚遇されているでしょうし...SRを越えたURクラス。これはもう育成していくしかないかな...(結局これ^^;)

加工対象が大きいと言う事は、今までの大きさよりも重量的な要素をより強く考える必要がありますが、設備が大きくなるので競合が少なく、今までよりも腰を据えて育成に時間をかけれると思っています。
勿論一筋縄ではいかないと思いますが、今までの知見を多少なりとも武器に出来るのは大きなアドバンテージ。全く無謀なチャレンジでも無いかな?と思ってます。
私自身も成長する事に対して増々欲を持って行きたいです。

当然ですが、従来の大きさの加工も今まで通り継続してやらせて頂ければと思っております。
今後ともよろしくお願い致します。


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