仕事と勉強

うちはNCプログラムは基本的に手打ちです。Rやテーパーの座標、それらが組み合わさった時の座標。対話を使えば良い?確かにその通りかもしれませんが、対話にも弱点があって交点の取り方次第では間違った形状で動いてしまう事もあります。特に試作や修正等の所謂一発勝負の時にこのミスは致命的です。この様な現象があるので「対話入力は禁止」と言う会社さんもあります。
対話に慣れてしまうとそれが正解なのか?間違いなのか?判断付かなくなる(と言うか盲信しちゃう傾向ありますよね)。現状では、とりあえず計算出来た方が良いと私自身は思っています。

先だっての社内講習でRとRの繋ぎ方をやりました。
内径にこんな感じの溝を入れると言う想定です。

この場合、R3とR8の中心を結びます。そして各座標を求める訳です。
仮に右から左に進むとすると①~⑤の座標を求める必要があります。(答え
組み合わせの考え方さえ掴めれば後は直角三角形を作っていけばok。割と簡単に座標は求まります。

これは中学レベル?の数学だと思います。ですが、ほとんどの人が出来ません。
前に少し書いたかもしれませんが、多くの人が社会人になったら勉強しなくても良いと思う様で、「勉強は必須」と言う意識付けが非常に難しい。
どの仕事も勉強は必要。話術、コミュ力という天賦の才が必要と思われる営業職も第一線で活躍してる人達は勉強してるし、営業成績の良い人に「才能ありますね」と言うのは、ちょっと失礼な事だと思います。

勉強と言うと詰め込み式の所謂、丸暗記と言う方法がありますが、頭の容量は限度があるので上手く使う事が必要ですよね。我々の業界の場合、マニュアルを見れば基本的な操作は可能です。最初の段階では覚える事が多いので、この辺を暗記していては頭の無駄使いになります。

例えば複合機(8タレット式)のATCの手順。(オークマの場合です)
①タレットをX,Zともリミットまで退避(干渉しないように注意)
②指定工具を任意タレットに入れるコマンド(MT=○○○○)
③ATCコマンド
終わり。
これをノートに書いておけば、工具の準備は出来ます。リピートの品物なら使う工具をどこに付けるか?が既に決まっているので、工具の準備(段取)が可能になります(一人立の第一歩ですね)。ここまでは強いて暗記する必要無いのでは?と思います。(単純な事はその内体が覚えるし)
要するに手順書ですね。ただ我々が使う機械は一歩間違えると重大な事故に繋がるのでマニュアルが整備されていたとしても、まずは出来る人が教える事になります。この教わっている時に「既に他人が作った手順書があるからメモらない」か、「一通り自分で書いて進める」か。ここが一つの別れ道になると思います。

うちでも様々な品物の手順書を作って仕事をしていますが、他人の手順書だけで進める人は最初の内は早く動けるかもしれませんが、後々になっても自分では工程が組めなかったり、苦手になる傾向が有るように思います。
自分で書かない人は同じ事を聞きにくる回数が多いです。まぁ聞けば良いのかもしれないけど、その分時間ロスするし聞かれた方も時間をロスする。全くもって非生産的。かと言って聞かなければ「う~ん...(´ε`;)」とフリーズしてこれまた時間ロスw。

そこで重要になるのがノートの書き方とまとめ方。
ただし、書き方が煩雑だったりすると後で見返して「何これ?」となってしまいます。そして「何をどこに書いたか?」と言う事が解らないと、いざと言う時に「どこに書いたっけ?」と言う事になります。仕事の遅い人、リズム良く流れない人は大体このパターンです。

それを見越して「まずは必ずメモを取る」「手順書があっても自分で書く(インプット)」「書いた後は見直す(アウトプット)」と言う事を決めたとしても、自発的に出来ない人は自発的に出来る人より成長が遅いです。たったこれだけの違いなんですが、毎日(8時間以上)の事なので、一年で凄い差が付きます。それが三年、五年、十年経つと?(これ、言っても理解してくれないんだよなぁ。)
暗記までは必要無いと思いますが、インプット、アウトプットは重要だと思うんです。そして何より重要なのは自発的に行うと言う事。

前述した営業職についても「なんで売れなかったのか?」と自分に問うて改善に務められる人は営業成績は上がっていくし、技術職と違ってドカン!と注文が入る事があって派手に見えるので勉強や努力は不要と思えるかも知れませんが、日々改善しないと落ちるのも早い。
技術は身に付くまで時間がかかるけど、機械加工における技術とは品物の固定方法、歪や振れ、加工条件。肝はこの辺に集約されるので旋盤なら旋盤、マシニングならマシニング、研削なら研削等、一つでも身に刻まれれば大体他にも応用可能です。(慢心はダメだけど)

今回はNC旋盤のプログラムでしたが、MCの場合は手打ちでは太刀打ち出来ない形状が多くなりました。この場合CAMを使う事になります。MC仕事の場合はメーカー側も(CAMで走らせる為に)図面はCAD図を出す事が必須になりつつあります。この流れは旋盤仕事の方にも波及してくる事と思います。こうなるとまた「勉強の必要無い」と思うかもしれませんが、CAMを効果的に動かす為に勉強は必要です。
もう諦めて勉強してくれ。(;^ω^)

答え

*①のZをZAとすると①X=D Z=ZA
②はR8とR3を結んだ直角三角形を作ると鋭角が39.4°の三角形が出来ます。直角の左の角をθとすると斜辺が8、底辺が5.078、対辺が6.182となります。
②X=D+3.636 Z=ZA-5.078
③は斜辺を3として②と同じ様に計算。X=D+5 Z=ZA-6.982
④X=D+3.636 Z=ZA-8.886
⑤X=D Z=ZA-13.964
(注:旋削でのプログラムです。)
後は使うバイトのノーズRを考慮して計算すればOKですね。


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