30年選手のメンテナンス

30年選手のNC旋盤。
穴あけ工程の段取り中、ドリルの心高さを見たら0.1以上狂ってる。
ん?おかしい...
緊急メンテナンス。
まずは刃物台の傾きチェック。厚さ方向(Z方向)にピクテストを走らせます。
0.02㎜以下。問題無し。
少し前のチェックでは心高さも大丈夫だったのですが、何か違和感が。

通常の調整手順通りスライドハンマーを使って正面を開けます。

刃物台を固定しているボルトを緩め、内径のホルダーで心高さ調整。
0.01以内に調整して12角全ての場所でチェック。
刃物台旋回させると同じ様に狂ってしまう...

テーパーピンを打ち込んでボルトを締めて刃物台を固定しても動いちゃう。んん??
どうも根元のボルトが緩んでる様です。
う~む流石に30年経つと予期せぬ箇所に異常が出ますね。

今度は後ろを開けてバラしていきます。


蓋を外して、旋回用のモーターを外して、ベースを外して...結構疲れるな(;´Д`)

やっと原因に到達

中央のナットが緩んでました。
緩み止めの座金が破損してるかと思ったら生きていたのでガッチリ締め直し。

元に戻して再度心高さチェック。
はい0.01以内で全て納まりました。
オッケーオッケー。心高さがキッチリならドリルもサクサク( ^ω^ )。

我々の仕事は、当然ながら物を作り、売る事によって儲けを出します。
これまた当たり前ながら金属を削るにあたって機械を使う訳ですが、ここにかかるお金の比重がかなり大きい。
工作機械は本当に高価で儲けたお金の大半がここに費やされます。
折角儲けが出ても、機械の寿命でまた購入しなければならず儲けの大半が飛んでしまう...これの無限ループですw

この工作機械にかかるお金を減らせば、その分儲けになる訳です。
要するに償却が終わった後もず~っと使う。

その為には長持ちしそうな機構(角型摺動面等)、メーカーのメンテナンス体制等々の条件が必要になってきます。
うちで使ってるオークマというメーカーは価格的には高価ですが長持ちする条件を満たしていて、今回メンテナンスした機械も30年経過。
常々書いている通り、切削加工は物理学。りんごが木から落ちる事が変わらない様に昔から根本的な部分は変わっていません。
NC旋盤もチャックを回転させ、刃物をあてて削る。という根本は変わりません。
30年前の機械と現行の機械、基本的な所は変わってないです。
1990.2
(1990年製 LB15)

2016.9
(2016年製 LB3000。良く似てるでしょ?)

と言う事は、メンテナンスの肝の部分を押さえておけばかなり長く使えるのです。
勿論、メンテナンスの知識は必要ですし使い方も影響します。
毎回レッドゾーン近くで加工したり、グリスアップ等注油を怠れば当然寿命も短くなります。
同じ位仕事が早くても機械のメンテをしっかりする人と全く気にしない人の違いは短期間では中々現れないかもしれないけど...
10年後に後者が使っていた機械はガタガタになってしまって機械を買う必要が出てきてしまった。
前者はまだまだ0.01程度の同軸度も問題無く出来る状態を保っている...となると、かなり大きい違いなんです。
だって1,000万円以上するんですから...1,000万以上の経費を節約できる人と出来ない人。
仕事が出来る人(稼ぐ人)が機械を大事にするって言うのは、こう言う所にも表れると言う事です。

今回の機械、独立時に中古で購入した時点で20年以上経過してました。
既にチャックの爪部分にガタが来てましたが、チップコンベアーにツールセッターが付いていて、何より安かったw
オークマなのにドライブ基盤が黄色と言う面白い奴です。

そろそろ入れ替えたいなぁと思うのですが、電装系はほぼ全て直したしH7程度の仕事は可能なので中々手放せないです。
まだまだ付き合ってもらいましょう。


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