今後

うちの社員に指示&教えてる最中です。
こんな絵を書きながら教えてる訳ですが、仕事の伝授と言うのは難しいです。
先だって入社時から彼を見知っているお客様から「かなり物になってきたんじゃない?」とお言葉をいただきました。一緒にやってきた身としては嬉しい限りです。ありがとうございます。
うちは一人一人の売り上げを記録しています。勿論この社員の記録もずっとつけています。
去年の数字を見返すと横ばいの感じが続いていましたが、4年目に入り「お?」と思えるほどに売り上げが上がって来ました。
一つ壁を越えたかな?数字で客観的に見ると成長が解って良い感じです。
まだ色々課題はありますが、ようやく賞与を含めた自分自身の給与に仕事の結果が追い付いて来たと言った所でしょうか。
弊社は「自主」「自立」「自律」を目的としています。
自分の給料分の仕事をする事。これが一人前の職人としての最低条件。まずは自立が成りつつありますね。

その目的は私や会社も同じです。
そして今後の目標の一つに自分たちの技術を持って様々なメーカーとのお付き合いをさらに深くする。と言う目標があります。
その為に何をすれば良いのか?日々考えています。

先だっても似たような事を書きましたが町工場自体が世間に向けて情報発信できる世の中になって、それが当たり前になりました。
今までの様なメーカーの下請けとしての町工場では無く、自社製品を作って世に打って出る事も比較的容易になったと思えます。
色々な町工場が様々な製品を出していて凄いなと思います。知名度を上げる役に立ちそうですよね。
そう思うのと同時に工業製品と言うよりは工芸品が多いとも思います。
この辺りに機械加工の奥深さが出ていて、中々難しいなぁと思うんです。

例えば弊社で加工しているシャフトスリーブ。オイルシールが当たり続ける結構過酷な状態で使われます。
当然摩耗するので、メッキ、溶射等の処理を行います。メッキや溶射が絡む場合、その後に研磨加工がありますが、それぞれに会社が成り立つほどに奥が深い。この場合「切削」「メッキ」「研磨」それぞれが別の会社です。(プラス材料会社ですね)

さらに熱処理が含まれると熱処理会社、製缶があれば溶接...「切削、研磨」、「切削、溶接」等、二つの工程を一社で手掛けている会社はありますが三つ含めてとなると一社でこなしている会社は本当に少ないと思います。
一つの工程は一社で行うのが普通です。ホームページ上で一社で完結と謳っているのは「協力会社と協力して作ります。その窓口が当社です」という事です。
(うちもそうです)
となると工業製品を自社だけで作り出すのは非常に難しい。だからあまり手が込んだ工業製品は作れない。手がかからなければ付加価値も低く価格も上がらない。
では一般的に使うモノと言えば?今は100均が当たり前の時代。この分野では中々難しい。
かと言って手がかかる製品を作った所で一般の方に嵌めあい交差の事を言っても伝わらないし、真円度や同軸度を説明しても「?」となりますよね、要するに求められてない。
見た目重視で寸法はせいぜいJISの中級~精級...となると、加工自体は楽ですよね。
アイデア勝負と言った所ですが、売れると解ればあっという間に陳腐化してしまう。(ハンドスピナーみたいに)ちょっと偏見入ってますかね?

前述した通り知名度アップを目的にすると、こう言ったアピールは一面では良いと思えるのですが、見方を変えるとその会社が持っている設備を使っての加工であって、その会社に伝わる極意を使っての加工では無い場合が多い様に思えます。自分たちの武器を効果的に使えて無いと言うか...
要するに一般の方へアピールするには良いかもしれないけど、同業に対してのアピールにはならないと思うんです。

少子高齢化もあって成り手が激減している昨今の状況。今後この動きがより顕著になる事が既定路線ですよね。
「お願いしていた会社が閉鎖してしまって、やってくれる会社が無いんです」と言うセリフを本当に良く聞く様になりました。
今はまだ既存の会社が支えていますが、もう手一杯の状態です。
景気の状況にもよると思いますが会社自体が減っているこの状況、あと5年もするとどう足掻いても作れない部品が多数出てくる事が予想されます。そうなるとメーカーは製品が作れなくなって成り立たなくなるんじゃないかな?

この状況を逆手に取ってもっとメーカーへ存在感をアピールし、一緒に戦う仲間として認めてもらえる様な協力体制を取る...こんな風にメーカーの方の意識を変えられればと考えています。(勿論その様に考えてくれる方も多くいらっしゃいます。)

ちょっと前の淘汰の時期を過ぎて、今残っている町工場はそれぞれが秀でた技術を持っている会社だと思います。
簡単に上手く行くとは思いませんが、上手く運べば自社の本当の財産である「技術を持った人」を使って自社も職人も良い方向へ向けるし、メーカーも高品質な製品の供給が続けえられる。
WinWinの関係になれると思うんです。

お客様から冒頭のお言葉いただいて、それを成す為の大きな仕事である人材育成がある程度上手く行っているのかな?と再確認出来ました。ありがとうございます。
今後もより多くのメーカー様と共に良い製品を作り「もの作り日本」の真骨頂を具現化していきたいと思います。

本年もありがとうございました。
来年もよろしくお願い致します。
良いお年を!


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