人材登用策総括 採用より難しい「育成と定着」

2026年6月、新年度から2か月が経過しました。
4月から高卒の新入社員が入社しました。周囲からは「いいね」と言われます。昨年・今年と続けて新卒が入ってくれたことは、確かにありがたいことです。
採用に苦労している会社も多い中で、若い人が入ってくれるだけでも恵まれている部分はあると思います。

ただ、継続率がね……。

採ることはできても、育てて残すことが難しい。ここが一番の課題だと感じています。

昨年、5年目の従業員が退職しました。
理由は一つではありません。本人の性格もあれば、こちらの接し方や教え方にも問題があったと思います。そこは会社側としても反省すべきところです。

ただ、振り返ってみると、辞めていくパターンは大体決まっています。
最初のうちは、初歩的な仕事から入ります。道具を覚える、機械に慣れる、測定を覚える。このあたりまでは、ある程度は反復で進みます。
でも、そこから次のレベルへ上がる時に、仕事の質が変わります。言われたことをやるだけでは足りなくなる。自分で考え、段取りの意味を理解し、寸法が外れた時には原因を考えないといけない。このギャップを吸収しきれないまま、気持ちが切れてしまう。

いわゆる「5年目の壁」は、単なる根性論ではなく、仕事の質が変わるところで起きているように感じています。

うちは多品種小ロットが中心です。毎回、材質も形状も精度も違う。段取りも違う。気をつけるところも違う。
外から見ると「手に職がつくから良いね」と言われることがあります。それは間違いではないけれど、中に入ると実態はそう単純ではありません。
求められるのは、単純作業の反復だけではないんです。

– 切削条件の理解
– 段取りの意味
– 測定力
– 図面読解力
– 失敗した時の原因切り分け
– 優先順位の判断
– 相談するタイミング

ざっと挙げてもこれだけあります(まだまだあるけれど)。しかもこれを同時並行で習得していく感じになります。一度覚えれば終わりでもない。フランジの厚さが1~2mm変わるだけで、段取りや注意点、判断も変わってくる。
継続して学び続けないと、どこかで対応できなくなります。

では、適応が難しい人にはそれほど難しくない仕事を用意すればいいのか。
大きい会社なら部署異動や役割分担で対応できることもあります。でも、零細ではそう簡単にはいきません。少人数の現場で会社を回していくには、一人ひとりにある程度広く対応してもらう必要があります。それが現実です。

もちろん、会社側の教え方も大事。
教える順番を考えること。つまずきやすい部分を整理すること。相談しやすい空気を作ること。失敗した時にただ叱るのではなく、原因を一緒に確認すること。「見て覚える」様な感覚的な部分も存在するので、そこをどう上手く伝えるか?等、まず自分たちのやり方を問い直す事も大事ですよね。

ただ、会社の努力だけで決まる話じゃないと思ってます。
技術を身につける仕事である以上、本人に学ぶ意思がなければどこかで必ず止まります。
正直に言えば、根本的にその気がない人をその気にさせる事まで、会社の仕事だとは思っていません。
会社が担うべき範囲と、本人が負うべき部分は、分けて考えるべきだと思います。

入社希望の方には、技術を身につけるとはどういうことかを説明しているつもりです。
ただ正直、これは入社前にはなかなか伝わらない。未経験ならなおさら、実際に現場に入って初めてその重さを知ることになります。
そして多くは、その段階でこの道から降りていきます。

採用は入口に過ぎません。
色々と取り組んできましたが、零細企業の人材対策は、採用そのものよりも、入社した人をどう育て、どう戦力として残していくかがより重要なのだと感じています。

一人ひとりに合った関わり方を考えながら、きちんと採算の取れる形にしていく。
零細企業の人材育成は、結局そこを地道に詰めていくしかないのだと思っています。


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