フリンガ(S45C)。
外径に高周波焼入れをしています。
外径はφ60h7 内径φ50G6 全長方向が47±0.05で内径基準で外径同軸度0.01、両端面の直角度0.01。中々の精度ですね。
外径はシール部分でプランジ研磨になりますが、基準出しも考慮して高周波後の仕上げ時に外径も削ってます。
(昔は「刃が立たない」ので高周波のまま研磨でしたが、今はCBNのチップも安くなり種類も増えて高硬度の焼入れ鋼でも手軽に加工出来る様になりました。)
この形状に限らずですが、そこそこ肉が薄い形状の場合、端面の外径側が硬く、内径側の硬度と差が出てしまう事があります。そうするとどうなるか?
硬度の違いから同じ面でも寸法にバラ付きが出てしまいます。それは肉厚5mm程度でも顕著に現れます。
これを防止するには端面の硬度を一定に保つ必要があります。ここは熱処理屋さんの腕の見せ所。
端面の硬度を落とす為に「なます」と外径の硬度も落ちて高周波の意味が無くなる、外径に高周波を入れれば端面にも入ってしまう(;^ω^)。
あまり強く入れすぎると割れの可能性も出て来るし...と言う感じです。
そしてこの部品、あと二つ問題があります。
①ツバに焼きが入ってしまう事。
②あまり端面を意識すると内径のOリング溝にも影響が出る事。
①ツバに関しては...もう仕方ないですね。1~2個なら面倒見ながら出来ますが、50個、100個となって来るとそうそう時間かけられません。
少々お高くなりますが、超硬のドリルに高硬度用のタップ、それと切削油。この3つがあればクリア可能です。
②端面の精度確保と内径のOリング溝...これも切削の方で合わせます。
と言う訳で安定加工へ。
うちの現場女子(妊娠中)による華麗な加工を御覧ください。
更に研磨上がりを三次元検査。
内径、外径、全長、同軸度、直角度(ついでに真円度)全てOK。
内径真円度0.006
外径真円度0.005
内外径同芯度0.006
内径端面直角度0
お盆前の納期でタイトでしたが、クリアしました。ありがとうございました!