最新の機械と汎用機

最近の機械はタブレットを使用する事が前提になりつつありますね。
カタログを見ると機械加工は、ますます人の手から離れていく様に思えます。

少し前から機械の宣伝文句には「誰でもすぐに加工可能」「直感的な操作で製品が出来る」等の文言が多く見られるようになりました。
ですが革新的な技術ではなく既存の技術を使っている以上、どれほど最新の機械でも根幹は変えようが無いです。すなわち加工条件や加工方法、物理的法則からは逃れられず、最新の機械を使えば純ニッケルだろうが、インコネルだろうが何でもボタン一つでサクサク、精度もミクロン単位で再現性も文句無し!なんて事にはならない。
どんなに素晴らしい機械でもφ100肉厚1ミリのリングは治具を使わないと咥える事すら出来ない。
誰でもすぐに加工可能と言うのは裏に「簡単に出来る仕事なら誰でも可能」と言う言葉が隠れていますし、その機械のソフトを製作した人の知見以上の加工は出来ないと言う事です。

簡単な加工のレベルと言うのが、どの様な物か?これは曖昧ですが、Φ100前後の製品の場合、幾何公差15μ以下の加工となると技術力レベルが上がります。このレベルの人をレベル2、それ以下をレベル1と仮定すると前述の「誰でも出来る機械」を使ってもレベル2の仕事は(現状)難しいと言う印象です。

そしてそれら機械を使用してお金を得るのが人間である以上、人が使った上でその機械の価値以上の物を生み出さなければならない。レーザー加工から切削、研磨、機上測定までとなると、どれだけの知見が必要か?この業界の方であればお解りになるかと思います。
上記な様な機械を否定している訳では無いんです。あれば凄く出来ることが増えると思うし、ホントうちも一台欲しいです。ですが、それを使いこなすとなると更なる知見を積み重ねていく必要があると思うんです。
1台だけ使っていれば給料が取れた時代は終わり、2台以上、それもより高度な機械をより効率的に動かす事が求められる。意外とこれからの技術者はとっても大変なんじゃないか?と思います。

対して作業者は確かに楽になるかもしれませんね。ですが楽って事は即ちそれほど給与が取れないという事になります。まぁこれはいつの時代も同じ事ですが、今後はより一層二極化が進むのかもしれない。

1台だけでは厳しいと書きましたが実は1台でも勝負出来る分野があります。
それは汎用機仕事。急速に出来る人が居なくなっている分野です。(前にちょっと書きました
先だって仲間と飲んでる時に、以前うちに来た方が「汎用機よりNCを学びたい」と話していたと伝えたら「今こそ汎用機の時代なのに?」なんて言ってました。

汎用機で給与が取れるようになるまでが厳しいですが、前述したレベル2以上(もうちょっとかな?)になれば意外と取れるんですよね。加えて、そのレベルになる頃にはバイト(手研ぎ)、治具の種類も増えて増々スピードアップ可能。手研ぎバイトはチップ代要らず。更に更に競合が殆ど居ない独占市場(笑)。続ければ続ける程価値が高まり貰いも増える。
先を見越して仕事をチョイスし知見と道具を貯めていけば、汎用機仕事は意外とイケるかもしれません。

う~ん書いてて思いましたが、やっぱりもうちょっと力入れてみようかな。
幸い私バイト研げますし、φ630の3000程度は扱ってたし。
程度の良いのが1台あれば30年以上使えますしね。
ただ取れる様になるまで我慢出来る人がいるかなぁ...
汎用だから給与が安いって訳じゃなく、製品に価値を付けられる様になるまでに5年は欲しい。となるとそれまでの給与は安くせざるを得ない。十分に取れる様になるには10年は欲しい。余程の物好きじゃないと続かないよなぁ。

汎用機とは言え、程度の良い物は6尺でも300万位はするそうです。
1台で勝負すると言うとやっぱり8尺は欲しい。6尺でもギリ何とかなるかな?いややっぱ難しいか。小さいと単価安いからなぁ。サブ機としては良いかもしれませんね。

可能なら正面盤が良いかな?切り落としでφ1200の芯間2000位の機械。
一般的な汎用機でもφ600以上になると厳しくなってくる。そこでφ1000出来るってなると、それだけで大きなアドバンテージだしφ500以上の薄板加工は需要も多く、その難易度から満足に上げてくる職人はとても少ないそうです。(仲間の溶接屋がボヤいてました(笑))
2000あればそれなりの長尺も出来るし、サブで8尺があれば完璧...それの相手が出来るミーリング機...あぁ金が無い!人も居ない!(結局最後はこれww)

まぁ最新の機械にしても汎用機にしても付加価値を高めるには自分の時間をどれだけ注ぎ込めるか?結局これなんですよね。
と、話しのオチもいつもの所に落ち着きましたね(;´Д`)


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