鋳物の仕事です。
どこから芯出しするか?その為にはどの様にクランプするか?等々、中々頭を使う仕事です。この品物は全て旋盤加工で行いました。
ステンレス鋳物。硬いし、スがあるとチッピングするし面倒な奴です。
最初の基準出しが肝要になってきます。
それと各箇所H7程度の交差があるのでバランスに気を配る必要があります。
重さの均一が取れて無い時に考え無しに回してしまうと遠心力で引っ張られて歪になってしまう。この品物に限らず異形の品物の場合、この辺は気を付けないといけない点です。
こんな感じになります。
最初に違う大きさの物を加工させていただき上手く収まった様で、今回は一回り小さい品物です。
例によって加工していた会社さんが何らかの理由で出来なくなって、うちに回ってきた仕事です。
鋳物の仕事はFCが多いと思います。弊社もFC鋳物の仕事を数点行っています。
機械が汚れるんですよね。砂粒より細かいので機械の摺動部に入り込んで摩耗を促進させる。また測定工具にも同様の事が起こりがちです。それとエマルジョン水溶性切削液の結合を壊すそうです。
複雑な形状を安価で大量に生産出来ると言うコスト面でのメリットは大きいですが、上記の様にデメリットも多いです。
現状、前述のデメリットと把握し難さが相まって鋳物加工は敬遠される為
加工を担当していた会社(職人)が辞めてしまうと途端にストップしてしまうリスクがあると思います。
ですが今回の弁体だったりケーシングだったり何となく鋳物製品には似通った所があるので一度行うと会社としてのノウハウ蓄積になると言うメリットもあります。これって結構大きいかも。
PTのネジが立つ場合が多いですよね。突起部分にPTのネジ。
突起の中心に穴心が来る様にトースカンで振れを見て根本で振れを見て等、大事な基準出しも一度行うと何となく次にも活かせます。似たような場合が多い為、治具も似通った形状になる傾向があるので勘所を掴む事は意外と容易なのかもしれません。
私の場合は前社(父、叔父)のお蔭です。やはり鋳物加工をしていたので、数点の治具がありました。それを参考にしました。継承した技術が役に立ってます。
(まぁ色々と言いたい事があるので中々素直になれませんが、この辺は素直に有り難いと思ってます...)
ちょっと反れちゃいましたね。技術力があると言われている会社さんには大抵鋳物加工用の治具があります。中々お目にかかれないかもしれませんが、もし見せてくれるような流れになったら是非見た方が良いと思います。
ここは各会社の色が出る所だと思います。まぁこう言ったノウハウはある程度以上、加工に対しての知見が無いと見ただけでは中々理解出来ない所ですよね。
なので実は、見せてくれると言う会社側も相手の反応で「この人は出来るな?」とか値踏みしてたりしますw。
異形の加工はまぁ面倒なんですが、あまり競争相手が居ないと言う事と、鋳型がある限りリピートがかかると言う、実は結構良い仕事なのかもしれませんね。