「もの作り」という言葉

シタテルと言う服のサイトを御存知ですか?
個人、企業から「こんな服が欲しい」と言う要望を集めて国内の技術があるパタンナー、裁縫工場へと繋ぎ顧客の要望に応えると言う会社です。
国内に流通している服の殆どが海外製との事ですが、国内にも裁縫工場は残っている。
国内の工場は技術は高いけど、コストが高い...ん?これってうちの業界の話し?
上手く回ってるのかな?と疑問に思ったので書いてみました。

我々の業界にもありますよね、この様な形態の会社。有名な所ではNCネットワーク。
国内に限らずと言う所ではミスミ辺りでしょうか。
ですが、うちの様な町工場にはマッチしません。何故か??
確かに初めから美味しい話しが無い事は承知していますが、それを念頭に入れても手が出ない程安い場合が多いんです。

察するに一つは海外で作っていたけど、品質不良や納期遅れの問題が大きく話しにならないというケース。
品質適当、納期もあやふや...話にならん!
そこで国内でと言う感じでしょうか。「価格は海外価格のままで」
前述した通り、品質不良と納期が問題になっているので、その辺厳重注意との一言が添えられているケースが多いです。
「価格は海外価格のままで」

もう一点は長年加工していた会社が閉鎖した。(最近これが多い)
長年やっていたからノウハウがギッチリ詰まっていて、多少面倒な加工でもすんなりと出来る。
その中で価格も揉まれて来ているので、これまた安い(圧倒的に安い)場合が多いです。
それをいきなり同じ価格でと言われても厳しいっす。

一旦考えて欲しいのは国内の工場は価格競争で海外に負けたので仕事が海外に流れたと言う事です。
負けたと言っても食っていかなければならないので、国内の会社は付加価値を付けて生き残ってきました。

また高齢化に伴う閉鎖工場の増加。
だってさぁ「食えればイイや」のノリで仕事してる方と値段で勝負は出来ないよ(;´Д`)

そして今現在。
ある程度一回りしましたよね。ここまでの仕事なら海外で安くあがると言う技術ラインが、ある程度解ったと思うんです。
その技術ラインを超える技術が必要となると海外でもそれなりのコストがかかる。

納期の問題、取引の問題(貿易等)となると信用度も重要になってきます。
例外はありますが、我々の業界は手形が普通。掛け売り買いはマストと言って良い位です。
そう、国内では初回取引でも掛け商売が普通に成り立つ。国内の会社(我々の業界)は信用度の面では問題無いですよね。これ大きいと思います。
これまた例外はありますが、納期も守る会社の方が多いと思います。

上記踏まえた上で中々マッチしない理由を考えると...
私が思うに、間に入って図面を流す人があまりにも「知らない」からじゃないかな?
機械は見た事あるけど、どのような加工で使うか等すら全く解らないで「もの作り」を自称している会社さん、人が多い。
図面を渡せば「ポン」と出来上がる程度にしか考えて無いのかな。
面倒な仕事程打ち合わせが大事ですよね。そこをすっ飛ばしていきなり見積もりしろと言われても「出来ません」というしか無いです。

もの作り...何となく玄人っぽさを連想する言葉ですよね。「もの作り大国日本!!」みたいな?
私の立っている世界はまさしくもの作りの世界なんですが、その世界の中にも「もの作り日本」とか大きな声で言ってる人は結構います。
実際話すと知っている人、理解している人ってあまり見た事無い。
間に入ってマージン取るならせめて少しは勉強して欲しい。
そうすれば、その価格がいかに無謀な価格かが解ると思うし、それが少しでも理解出来ていれば話しが出た時点で「その価格では国内では厳しいです」とか「打ち合わせが必要です」とか言えると思うのですが...お互い無駄な見積もりに時間を費やす事も無いでしょう。

丁度タイムリーな話しがありまして、先だっての話しです。
お世話になっているメーカーのご担当者様から「三分のネジってM10のナット入る?」とのお電話がありました。
三分と言うのは3/8の事です。ユニファイ(UNC)の3/8はM10と似ていて、出回っているUNC3/8ネジ外径は約φ9.4
そしてピッチは約1.6。M10はネジ外径約φ9.8、ピッチが1.5。入れようと思えば途中まで入っちゃうんですよね。
他社さんで加工した物が変なので、と言うお問い合わせでした。
私も早とちりして、UNC3/8とM10を間違えたのかな?と思ったんです。話の流れを忖度したんですよw

そしたらもっと酷い話しでした。
図面の記載はR3/8だと言うんです。え~と...(;´Д`)
R3/8テーパーネジですね。大きさも全然違うんですが...
話しの顛末としては、メーカー>商社>加工屋の流れだったそうです。
商社の方が知らなかったのか、加工屋さんが知らなかったのか解りませんが
R3/8をUNC3/8で切ってきたと言う冗談話しでしたw(一生懸命説明しちゃいましたよ~苦笑)。

金属加工と言っても本当に色々あって、中には「タップなんて使った事無い」と言う方もいらっしゃいます。
いや、それ自体は全然良いんです。だって餅は餅屋ですから。
自動機を使ってる会社にφ400の図面持って行っても「???」となるし、逆に正面盤をメインにしてる会社にφ3のピンの図面持って行っても「???」となります。

そこの加工屋さんは3/8と言えばUNCだったのだと思います。(ちょっと苦しいかな...これは知っててもらいたい案件ですかね?R3/8って記載あるからなぁ)
まぁ要するに間に入る方にもう少し解って欲しいと言う事です。

勿論全部を知る事は大変なので、出来る会社さんを何社か持っておくと言うスタイルで良いと思いますが、どこの会社で何が出来るか?すら解らないから上記の様な事になるんだよなぁと思うんです。

「人知り300両」と言うので間に入って人を繋ぐと言う仕事は確かに価値のある仕事だと思います。
うちの様に営業力の無い会社は、他社様の営業力を借りる場合が多々ありますしね。
ですがその300両の前には「働き」「考え」「知恵借り」「コツ借り」「ひらめき」が存在します。
それらを総合した上で人知りだからこそ300両の価値があるのでは?と思うのです。

ただ単に人を集め図面をかき集めて、ばら撒くだけでは上手く行かないと思う。
逆にそれが解っていればどんどんマッチングが成ると思うんです。
こちらもやり易いですしね。

こうやって書いていて思いましたが、今うちが取引させてもらっている会社のご担当者様は皆さん良くご存じの方ばかりです。
本当にやり易いですし、有り難いです。

ですが、情報発信が重要な世の中に変わりました。
散々悪態つきましたが(;^ω^)、「もの作り!」と言ってる人達は、情報発信は上手いですよね。
逆に我々はあまり得意じゃない分野。(上手くやられてる会社様もございますが...)
と言う事は、WinWinに成れる可能性ありますね。
もっとお互い踏み込んで、お互い上手く利用していければ良いなぁ。
もう少し相互理解を深める機会を多く持たないとダメなのかもしれません。

それにしてももう少し違う言い方にしてくれないかなぁ?
シタテル(仕立てる)と言うのは間違いでは無いと思うんですが、物を作る「もの作り」をしてるのは我々なんだよなぁって思っちゃうんですよね(;^ω^)


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