グレンダイザー作戦

グレンダイザー知ってます？マジンガーZと亀？が合体するロボアニメ。すいません古いですよね。
だけど今回の仕事にピッタリ来る言葉だったんです。
5月はもうこの仕事の為にあったと言っても過言では無いです。

見た目は黒皮なので雑な仕事の様に見えるでしょうが、この黒皮に溶接、んで中はしっかり加工って言うのが中々厄介なんです。どう把握するか？加えて色々溶接してあって異形加工に近い。大きな物も付いてるので遠心力によるアンバランスの考慮、歪の具合も考慮とホント大変。
キッチキチの交差縛りも大変だし神経使いますが、普通に把握出来る場合が多くまだマシな訳ですが、この手の製缶（鋳物）仕事は今までの知見をフル動員する様な仕事で別の意味で疲れます（苦笑）
（ジャケット形状の製缶品等、以外と外径黒皮のままって仕事って多い）

何と言っても設計段階の最初から話しに加わって無いのが大きい。どうしようも無い状態からのご指名でした。
まぁうちの名前を思い浮かべていただいたのは嬉しいので出来る限り尽力します。
ですが．．．うちの旋盤、心間は良いとしてもチャックの大きさは8インチと10インチ。対して品物はSTPG370 250A Sch40 外径φ270、内径約φ250、長さ500程度。外周にソケットやら何やらが何個か溶接された状態。
一箇所ものすごくゴツイのが溶接されてます。(^_^;)
（仲間に押し付けちゃえ～と思いましたが、当然の如く皆話し聞いてくれるだけでしたw）

さて立旋盤ではない普通の旋盤な弊社だと当然チャッキングしての加工になる訳ですが、ここで2択。片持ちか振れ止めか。
片持ちも考えたし、それで行っていたとの事でしたが今回は振れ止めで攻めます。（よく片持ちでやるなぁと思いますがアプローチの仕方は様々ですよね。）
どちらにしても治具は大掛かりだし、だったら危険の無い方で。
と言っても大きな機械（汎用）でも12インチ。振れ止めはφ200まで。それもカウンターも無いボロ汎用で±0.025は厳しい。最終的に肉厚5ミリ程度になるし熱持って如何ともし難い状態になるのは見えていたので、NCに乗せる事にしました。

どうやって？
治具作りました。
中古のφ350位がかかる振れ止め買って無理やりNCに合体させる。仲間と話している時に仲間が半分冗談で言った「汎用の振れ止め乗せちゃえば？www」
これを実行しましたw
まぁカッコよく言うと汎用技術とNC加工技術の融合ですが、これはガメラ（古代生物？）と

マジンガー（ロボ）を

強引に合体させる様なもんだよ。正しくグレンダイザー！

もう何と言うかホント強引です。ちょっと途中面白くなってきてましたが、NCのベッドは斜めな訳で色々と面倒でした（まぁどうしようも無くなったら最後は汎用でやるかと思ってました）が意外と上手く乗るモンですね。我ながら笑っちゃいましたw

そして．．．「シュートイン！！www」

乗っちゃえば後はこっちのモンです。
内径深さは390位ありますが、心間1000のNC旋盤があるのでクリア。
仲間のアイデア？と機械に救われました。
扉が治具に当たって閉まらないのでプチプチでカーテンを作って（と言うか磁石で付けて）軽くビショビショになりながら加工。

やっぱりゴツイ奴の入熱が大きい。歪み取りなんてしない状態だったので、内部に応力が残っていた様で切削の熱でどんどん外に逃げて行きます。
加えて断続、溶接材や溶接による硬度違い、アンバランス等のフルコンボに近い状況。
入熱ダメなのに断続って無理ゲー感が(；´Д｀)
（耐熱鋼じゃ無いのが救いでした。）
軽くお灸据えてみましたがどうやっても外に出てっちゃうので、もう諦めて都度修正しつつ加工。

そして完成。（もう写真撮る暇無しです＾＾；；）
寸法はヤキバメするから機上で出てればOKとの事でしたので、まぁ形になりました。
一番の問題だった入熱による歪が原因の肉厚のバラツキも最低肉厚をクリアして終了。

何にしてもご要望にお応え出来て良かったです。
少々トラブルもありましたが、親身になって話し合っていただいてありがとうございました。
良い経験させてもらって感謝しています。

ちなみにオークマにちょっと聞いたらLB300の振れ止めはφ200まで。それ以上は一から設計なのでいたしません。との事でした。（なんだよ、いけず～(・´з`・)）
ですが、今回の作戦でφ350クラスの振れ止めは乗せる事が可能な事が解りました。
溶断で大体の形に切って、自作するって言うのもアリかもしれません。そうすれば扉も閉まるし。
今のオークマの心押しは心押し台が自走する機工だからちょっと苦しいかもしれませんが少し前のLB300やLB15Ⅱ辺りだったら行けそうです。まぁ自分はもう良いですが．．．（；^ω^）

と言う訳でグレンダイザー作戦でした。