TNMGの話し

先だって、とある社長と話していて「やっぱTNMG派は少ないなぁ」と思いました。
私は結構TNMG推しなので、ちょっと書いてみました。

TNMGを使い始めたきっかけ

チップ選びって、結局のところ「師匠の影響」が大きいですよね。
私の場合は叔父が師匠でした。師匠が好んで使っていたのが、TNMG1604系のチップ。
鉄の仕上げには、京セラのサーメット(TN60、Sブレーカー)。
SUSには、タンガロイのSS(T6163)。
まだ昭和的な時代で汎用機も多く使っていたので、シャクリのついた勝手付きチップは、まさに“手研ぎ”の延長のように感じられて扱いやすかったんでしょうね。
(汎用機は基本付きっきりだし、切粉の処理も問題なし)

今でも私は、TNMGで内外径の荒引きから仕上げまで使っています。
R0.1~R0.8まで一通り揃えて、ネガ6コーナーでコスパも優秀。

だけど、仕上げにTNMG?という反応も

とはいえ、TNMGで仕上げしてますというと、少し珍しがられることもあります。
D(55°)やC(80°)の方が定番ですよね。(うちは荒加工でWネガ使います。)

じゃあなぜTNMGが嫌われがちか。
一番はやっぱり保持力の弱さ=加工中の不安定さかと思います。

勝手付きチップで「何もしてないのに-0.02」事件

特に前述のチップだと切粉が分断されないので、段付き加工だと切粉がチップとワークの段差に詰まるんです。
その時にチップがホント微妙に動いて、いきなり0.02以上径方向に食い込むことがあります。
これ、実際に私が体験しました。
交差±0.004の仕事中に、突然−0.02。
まさに「何もしてないのに」寸法が狂ったんです。
「え?え???」となって「いや、いきなり狂った」と報告したんですが、
師匠からは「そんな訳ない、補正の単位ミスだろ」とバッサリ。(;´Д`)

んん~と不承不承で納得しましたが、その後また同様の事があったので、色々自分なりに考えて切粉がチップを微妙に動かすという仮説に至りました。
実際CADとかで絵にすると良く解りますが、切粉挟まって0.2度ズレるだけで片肉0.02食い込みます(Z方向は0.03プラス)。

プログラムの工夫(工具経路の見直し)や把握の見直し、工具の再選定(3次元ブレーカ導入)等で再発しなくなりました。
色々試すと工具の知識も貯まりますよね。
サンドビックのMFは良いチップでした。(つか、まだある。高いのでうち的に廃盤ww)

TNMGはクセもあるが、活かしどころもある


センターワークの時にWやCよりセンター側に寄れるし、DやVよりもコスパは上。
固定の不安定さを補う為に二面拘束にすると頭が大きくなってTNMGの良さが損なわれるのでうちでは、ダブルクランプかウェッジロックのTNMGをメインで使ってます。

ただ、ダブルクランプはもう廃盤なんですよね...市場にあったL勝手を買い占めたのは、うちです笑

(ダブルロックL勝手、頭サンダーで擦ってます)
ホント汎用性は高いと思うんですけどね。不良の事考えたらDにシフトしていくべきなのかもしれませんが...
うちでは今後もしばらくTNMGメインで運用していく予定です。

たまには、こんな技術ネタもアリですかね。


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